乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「無理すんなよ」
後ろからぎゅっと抱きしめられた。
突然の事に、体が硬直してしまう。
「俺も怖い?」
「……やめてください…こういうこと…冗談ですることじゃないです」
首筋に優斗パパの息がかかる。
私は二人っきりになったことを後悔した。
彼は息子の友達の父親なのに…
ショックだった。
優斗パパは鼻で笑い、
「冗談じゃなきゃいーんだろ?」
と抱きしめる力を強める。
「…奈緒さん?」
その時、いるはずのない優奈ちゃんの声がした。
私は全身が凍り付いた。
横を見ると、険しい顔をした優奈ちゃんが呆然と立っている。
私は思わず優斗パパの胸を両手で押して離れた。