乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
近づいて頭を撫でようとした時、陸さんの目がパチっと開いた。
「…奈緒?帰ってきたのか」
「う、うん…ごめんね起こしちゃって」
「いや…遅かったな」
陸さんはあくびをしながら起き上った。
時刻は22時を過ぎたところだった。
「優奈と飯楽しかった?」
「うん…」
全然楽しくなんてなかった。
まさかあんな事になるなんて…
優奈ちゃんはあの事、陸さんに言ってないんだな…
「それにしても、優奈がお前に懐いてくれて良かったよ。あいつ、かなり奈緒を慕ってるみてーだし」
「…そうなの?」
「ああ、なんか憧れてるとか言ってたけど」
ククッと笑い、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出して飲んだ。