乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】



「わかった。立てるか?」




「たぶん…」




陸さんは優奈ちゃんを抱えて立たせた。



流れ出る血は、見てるだけでこっちまでゾッとしてしまう。





「オレ、優奈を病院まで連れて行くわ」




「陸さん、私も…」




「奈緒は蒼空たちと一緒にいてくんねぇ?まだ来たばっかだし、帰りは長谷部さんに送ってもらえるように俺から話しとくから」





「う、うん…」





そうじゃない。




そうじゃなくて…




胸の中のわだかまりが膨らんでいく。





「また奥さんを一人にすんの?」





その時、側にいた優斗パパが口を開いた。




ドキッと心臓が音を立てる。





「は?」




「あんた、奥さんの気持ちわかってねぇんだな」






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