乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
陸さんが再び眉間に皺を寄せる。
「それどういう意味だよ?」
「……いいの!いいから早く優奈ちゃんを病院へ連れてってあげて!?血やばいし!」
私は二人の間に割って入るように大きな声で言った。
2人の間に険悪なムードが流れている。
「…その子痛そうだし早く行った方がいーんじゃねーの?」
「うんうん…子供たちの事はまかせて」
陸さんは腑に落ちない顔をしていたけど、「悪いな」と私に一言だけつぶやいた。
そして優奈ちゃんを抱えて歩き出す。
優奈ちゃんは陸さんにしっかりしがみついていて。
…それが嫌で嫌で。
緊急事態だししょうがない事だってわかってる。
でも…
すごく胸が痛いんだよ。