乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「お…重いでしょ?」
恐る恐る聞いてみると、陸は何食わぬ顔で「別に?」と言った。
「お前ダイエットするっつってたけど、しなくてもよくねぇ?」
「え!?そうかな!?」
「ああ。それ以上痩せたら逆にやべーよ」
「陸は…痩せている女の子とか…嫌い?」
「いや?」
「ホント!?」
「でも触り心地はあった方がいいな、奈緒みたいに」
「…奈緒さん?」
陸が何かを思い出したのか、フッと笑い出す。
「あいつ痩せてはないけど、それがいいんだよな」
ズキンと胸が痛む。
奈緒さんの名前を聞くたびに思い知らされる。
陸は結婚しているんだってことを。
そして奈緒さんの話になると、いつも優しい笑顔になる。
そんな陸を見ていると辛くなる。