乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】



陸の体を掴んでいた手に力が入る。




「どーした?」




「ううん…」





優しく笑いかけてくれるたびに、ドキドキが増していく。




陸は一瞬でも私にドキドキしてくれないのかな…




やっぱり妹みたいに思ってるのかな…




私の方が奈緒さんよりも前に出会っていたのに。



もう少し早く産まれていたら…



こんなこと、何十回も思った。




どうしようもないことなのに。









陸の車で病院まで行き、治療を受けた。



私は足の裏を5針縫うことになってしまい…



局部麻酔したけど痛くて痛くて…涙が止まらなかった。





陸には「バカだな」って言われたけど、あの時は無我夢中だったんだもん。





側にいると思っていた陸が突然いなくなっていて、周りを見渡すと奈緒さんと一緒にいたから。





< 156 / 263 >

この作品をシェア

pagetop