乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
陸の体を掴んでいた手に力が入る。
「どーした?」
「ううん…」
優しく笑いかけてくれるたびに、ドキドキが増していく。
陸は一瞬でも私にドキドキしてくれないのかな…
やっぱり妹みたいに思ってるのかな…
私の方が奈緒さんよりも前に出会っていたのに。
もう少し早く産まれていたら…
こんなこと、何十回も思った。
どうしようもないことなのに。
陸の車で病院まで行き、治療を受けた。
私は足の裏を5針縫うことになってしまい…
局部麻酔したけど痛くて痛くて…涙が止まらなかった。
陸には「バカだな」って言われたけど、あの時は無我夢中だったんだもん。
側にいると思っていた陸が突然いなくなっていて、周りを見渡すと奈緒さんと一緒にいたから。