乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】




「ねぇ、陸…」




「ん?」




「私、見ちゃったんだ」




「何を?」





「奈緒さんが他の男と抱き合ってるところ」







卒アルから私の方へと目線を移した陸の顔が、みるみるうちに険しくなっていく。




さっきまで柔らかい表情をしていたのに、一瞬で変わってしまった。




その顔は今まで見たことがないくらい怖くて、昔から陸の事を知っている私でさえも目を逸らしたくなるほどだった。





でも、もう後戻りはできない。





「……奈緒が?誰と?」




「た…多分…今日一緒に海に来ていた人だと思う…」





「高橋か?」




「うん…多分…」





それを聞いた陸は、頭を掻きながらはぁーっと深いため息をついた。



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