乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「それ…どこで見た?」
陸は私のことを見つめていたようだけど、怖くて目を合わせられなかった。
こんな陸を見るのは初めて。
「この前奈緒さんと夜にご飯食べた日…私先に帰ったんだけど、奈緒さんはもう一軒行くって言って…でも私奈緒さんの事気になって戻ったの…そしたら…」
杉田さんの事は言えないけど…
これは本当の事だもんね。
「…なんであいつといるんだよ…」
陸は小さな声でそうつぶやいた。
「奈緒さんも…拒んでいなかったよ?…嫌じゃなかったのかな…」
恐かったけど、口が止まらない。
陸を悲しませる言葉ばかりが次々と浮かんでくる。
私って…こんなに嫌な女だったのかな…
陸は卒アルを横に置いて突然立ち上がった。
「陸…どうし…」
「帰るわ」