乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
優奈が俺にキスした後、顔を赤らめて俯いた。
「ご…ごめんね急に…」
「…優奈」
「びっくりした……よね?」
俺の顔も見ずに、そのまま俯きながら話を続けた。
「私…初めて会った時から陸が好きなの。子供だったけど、あの頃の気持ちは今もずっと変わらなくて…結婚してる陸に気持ちは伝えないつもりだったけど…あんな事があって、私も黙ってられなかった」
他のヤツなら、話も聞かずに部屋を出ていただろう。
でも相手は優奈で。
俺はその場を離れることができず、ただ黙って聞いていた。
「私なら奈緒さんみたいな曖昧な態度は絶対取らない。ずーっと一途に陸だけを思ってきたんだもん。忘れようと他の人と付き合っても、やっぱり陸しか好きになれなかったし。私は昔の陸も、今の陸もどっちも好き」