乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
家に帰ると、奈緒がキッチンで夕飯の支度をしていた。
リビングでは蒼空と唯が絵を描いている。
「あ…おかえりなさい陸さん」
奈緒が俺に気づいて側に寄ってきた。
「優奈ちゃんの怪我…大丈夫だった?」
「あー…5針縫ったらしいけど本人は元気そうだし大丈夫じゃねーかな」
「そっか…良かった…」
俺がいなくなったあと、高橋と何かなかったのかすげー気になるけど。
今そんな話をしたら冷静になれそうもない。
「パパー!見て~今日の事絵に描いた!」
蒼空が俺に描いた絵を見せてくる。
子供達が砂浜で遊んでいる場面だった。
「すげーな。うまいじゃん」
「へへっ」
照れくさそうに笑う蒼空の頭をポンと撫でた。