乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「奈緒、明後日なんも用事ねーよな?」
仕事に行く前、突然陸さんが私に聞いた。
「明後日…5日?特に何もないけど…」
「そっか、じゃあ行けるな」
私に背を向け、玄関で靴を履く陸さん。
「え…どこに?」
「その日北川の花火大会あんだろ?それにいかねぇ?二人だけで」
「え!二人だけでって…子供たちは?」
立ち上がり、私の方を向いてニヤリと笑った。
「蒼空と唯の事はお義母さんに頼んである。昼間は子供達連れて祭り行って、夜は2人でいこーぜ」
「え…う、うん…」
「なに?嫌なのか?」
私が腑に落ちない顔をしていると、陸さんが私の両頬をぶにっとつねった。
「嫌じゃないよ!ただ…急になんでだろうって…」