乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
本当は泣きたくてしょうがなかった。
でも私は大人で、陸さんの妻で、そして二人の子供の母だから。
いつも強くいなきゃだめだと思った。
だけど…
花火大会の時、優奈ちゃんの姿を見つけた瞬間、私の手を離して優奈ちゃんに駆け寄っていった陸さんを見て、胸が苦しくて辛くなった。
行かないでって、言いそうになった。
本当は…私はまだ未熟で弱い人間なの。
今まで我慢していた分、涙が止まらない。
どうしよう…
すぐ帰らなきゃないのに…
優斗パパは何も言わず私を抱きしめた。
温かくて、私の思いを全部受け止めてくれるような…
すごく居心地が良かった。
離れなきゃと思ってても、なかなか体が動かない。
私は声を殺して泣いた。
優斗パパはひたすら私の頭を優しく撫でてくれた。