乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「奈緒に出会う前…俺は誰も人を信じられなかった。本当の家族なんていなかったし、親からの愛情なんて知らねーし。でも…小さいお前は素直に俺に懐いてきて…なんかお前に会うと俺は気持ちが安らいだんだよ。なんつーか、妹がいたらこんな気持ちになんのかなって思ってさ。だからこいつだけはずっと守るって俺の中で決めてた」
優奈は俯いて唇を噛みしめた。
「その頃から…陸にとって私は妹のような存在だったんだね…」
「だからこの前お前から言われた時、すげー悩んで。お前を傷つけたくなかった。優奈は俺の家族と同じくらい大事だったから。でも奈緒を思う気持ちとは別なんだよ。あいつのことは…もう絶対に手放したくねーんだ」
「でももし奈緒さんが、他の人を好きになったらどうする?」
「もう一度、俺のとこに戻ってくるようにする。その自信はあるし」
「なにそれっ…」
フッと優奈が笑った。