乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
俺は優奈の髪の毛を手でぐしゃぐしゃにした。
「心配してんのに嬉しいとか言うなよなー」
「フフッ…。あ、てか奈緒さんは?さっき一緒だったよね?」
「あー、待ってるって言ってたけど…」
いつの間にか花火大会は終わっていたようで、辺りは帰る人達で混雑していた。
こんなんじゃ奈緒んとこに行くにも容易じゃねぇな。
俺は奈緒に先に帰ってるようLINEを送った。
あいつは母親になって、昔よりだいぶしっかりしてきた。
俺から見ても、強い女になったと思う。
だから気づかなかった。
あいつが今、どんな想いでこの夜空の下にいたのか。