乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
公園から家までは徒歩5分くらいだから、その間に顔をしっかり整えようとした。
陸さんには気づかれないように…
しっかりしなきゃ。
笑うんだ、私。
家の前に人影が見えた。
暗かったけど、それが誰なのかはすぐにわかった。
「陸さん…」
「奈緒!おせーよ」
陸さんはすごくイライラしていた。
電話を切ってからずっとここで待っていてくれてたのかな…
「ごめんっ…」
「…なんかあったのか?」
いつも通りって思っても、顔がどうしても引きつってしまう。
なんで私って嘘付くのが下手なんだろう。
「なにも…ないよ」
陸さんの顔が見れなくて、咄嗟に俯いてしまった。
「嘘だろ。……変な奴になんかされたんじゃねーだろうな!?」