乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「それから。俺は絶対に奈緒を手放す気はない。それだけは言っておく」
優斗パパが陸さんの方を振り向き、なぜかニヤッと笑った。
そして私の横を通り過ぎようとした時、優斗パパがそっとつぶやいた。
「バラして悪かったな。でも、あんたの辛い顔もう見たくねーからさ。ちゃんと話し合えよ」
「あ…はい…」
優斗パパの背中を見送った後、陸さんはすぐさま私の腕を掴んでどこかへ歩き出した。
「あのっ…陸さんどこへっ!?」
陸さんは無言のまま、家の近くにある公園まで私を連れて行った。
嫌な思い出のある公園…
ここで私はこの前、優斗パパに抱きしめられた。
思い出すと罪悪感でいっぱいになる。
その時、陸さんが口を開いた。
「花火大会の夜…ここであいつと会ってた?」