乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
その男性は少し気だるそうにこちらに歩いてくる。
優斗ママの年は私とそんなに変わらないから、旦那さんも同じくらいかな…
見た目は若いけど渉パパとは真逆の、愛想がなくて感じが悪いイメージ。
「うちの主人です…ごめんなさいね、主人寝不足気味で体調がすぐれないみたいなの」
優斗ママは少し気まずそうに旦那さんに小突いた。
「……どうも」
そう一言言われただけ。
意外だった。
確か旦那さんって有名な大企業に勤めている営業マンなんだよね?
営業の人ってもっと愛想あって話し上手なイメージだったけど…
「じゃ、じゃあ…さっそく荷物運んでお昼にしましょうか!」
優斗ママがいそいそと車に戻って行った。