乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
優奈ちゃん目当てで来てる人もいる。
陸さんは気づいていないようだけど、私にはわかる。
うちの社員の中には、優奈ちゃんがバイトの日だけ事務所に顔を出す人もいる。
すごい人気だった。
「いやー。優奈ちゃんにはまいるな~。完全に負けましたよ。今回はこちらにお任せすることにしましょう」
事務所の奥にある応接間から、陸さんと優奈ちゃんと、体格の良いおじさんが出てきた。
あれは確か取引先の杉田さん。
「ありがとうございます」
陸さんが頭を下げ、優奈ちゃんも「ありがとうございますっ」と、笑顔で一礼した。
「ではまたね、優奈ちゃん」
杉田さんは優奈ちゃんの肩をポンと叩いて帰って行った。
ちょっと目つきが気持ち悪かったけど…
うまく契約に結び付いたみたいでよかった。