乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「ったく。お前もちゃんと見てから弁当入れろよなー」
陸さんは笑いながら唯を下におろして、蒼空が持っていたリュックの中からお弁当を取り出した。
「…本当にありがとう、助かったよ。ごめんね仕事前に…」
「パパありがとー!だーいすき!」
蒼空が陸さんに抱きつく。
陸さんは優しい笑顔で蒼空の頭を撫でた。
「えっと…桐谷さん、そちらは旦那様?」
優斗ママが私に聞いてきた。
さっき話していた時の声よりも明らかにワントーン高いんですけど。
「あ、はい…そうです」
「あっらぁーーー初めましてぇ!私いつも桐谷さんととても仲良くさせていただいております、高橋優斗の母ですすぅ」
私の声が消されるくらい甲高い大きな声でそう言い、優斗ママは陸さんの側に駆け寄った。