乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
その時、ドンッと目の前に山盛りのポテトが置かれた。
「今のうちに逃げたら?」
「…え?」
上を見上げると、優斗パパが御手洗いの方の様子を伺いながら小声で話した。
「あのおっさん、今までも色んな女ひっかけてんの俺見てきてるから」
「そうなんですか…でも、大事な取引先の人だから逃げるなんてできません。話すればわかってくれると…」
「そんな簡単にわかってくれるようなヤツじゃねーよ」
杉田さんがこちらに向かってくるのが見えた。
「くそ、もうきやがった」
優斗パパは一瞬顔をしかめたが、すぐに笑顔で杉田さんを迎えた。
「雅人君、今日はもう帰るよ」
杉田さんは御手洗いから戻ってくるなり、席にも座らず帰る支度を始めた。