乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
ドクドクと再び音を立てる心臓。
「さて、考えはまとまったかな?どうすれば一番利口なのか。たかが一晩同じベッドで寝るだけの事だ。それだけで君の会社は安泰になるんだぞ」
杉田さんがニヤケながら首元のネクタイを緩めた。
義父を思い出してぞっとする。
「私…」
「さ、出ようか」
私の言葉も聞かず、杉田さんは優斗パパにお金を渡すと私の手首を掴んだ。
「あのっすいません…まだお話が…」
「話なんてもうなにもないだろ?」
ど、どうしよう…
すごい力…!!
店を出るとホテル街の方へ強引に歩き出した。
手を振りほどこうとしても、中々振りほどけない。
その時突然、後ろから声が聞こえた。
「杉田さん!」
振り返るとそこには優斗パパが息を切らして立っていた。