乱華~羽をくれた君~Ⅲ【完】
「雅人君?なんだ?何か忘れ物でも…」
優斗パパはツカツカと私達の前まで来ると、「すみません」と言って、杉田さんを殴った。
杉田さんはその場に倒れると驚いた顔で上を見上げた。
「なっ…なにを…!」
優斗パパは私の手を掴み、すごい勢いで走り出す。
「あ…あのっ!」
「いいから走れ!」
振り返ると、杉田さんが道の真ん中で座り込んで呆然とこちらを見つめていた。
ドクドクと心臓が鳴り響いている。
まさか―――
優斗パパが助けに来てくれるなんて。
しばらく走り、人気のない場所に辿り着くと、自然と手を離された。
息が上がって苦しく、喉も痛い。
こんなに走ったのは久しぶりかもしれない。