Calender_Girl

その日のミーティングは、ほとんど彼女のお別れ会に
なってしまった。

もとより、もう、皆仕事が無いのだし

今思うと、彼女の事を皆で心配していたのだろうと思う。
ここのオフィスに居られなくなるのは、彼女だけだからだ。

「えー、では、僕らから贈り物を。」
グループ・リーダーの和くんは、大きな包みを取り出し
会議室の入り口ドアにブラインドを下げた。

ここは研究室だから、私物の持ち込みは禁止なのだ。
敢えて、それを侵してまで、贈り物を持ち込むと言う
和くんの男気に、僕は感心した。

贈り物は、意外なようだが九州の名産、芋焼酎の
フラスコ・ボトルだった。

意外にも、幼い気な彼女は酒豪らしい。
その、アンヴィバレントな所に僕は気を惹かれた。

...ちょっと、面白いな。

贈り物を開けて喜んだのだろうか、彼女は落涙した。
ハンド・タオルで拭っても、涙は止まらなかった。

「あーあ、和くん、ダメじゃん、女の子泣かして」
岳ちゃん、普段は冗談なんて言わない瓢悍な彼が
珍しくそんな事を言って、笑わせたので
彼女も、落涙しながら笑顔になった。

とても、素敵な笑顔。

胸苦しさを感じた。
< 109 / 202 >

この作品をシェア

pagetop