Calender_Girl
気づくと、日はとっぷりと暮れて。
2月の終わり、高原の日暮れは早い。
17時半の定時退社時間を過ぎた。
....もう、帰っただろうな。
普通、退職する人は16時でフレックス・コアタイムが終わるから
そこで帰るだろうな、と僕は思った。
淋しいけど、仕方ないな。
仕事を放り出してまで、プライベートを優先する訳にはいかないし...。
でも、このままの方がいいのかもしれない。
前にも、こんなことがあったな...。
僕はこういう職種だから、あちこちの仕事場を渡り歩く事になる。
ときどき、似たようなこともあった。
でも、だいたいこんな感じで、自然に終わっていくから
まあ、こんなものかな。
そう思い、僕は仕事を続けた。
18時半。
僕は、普段行かない場所、独りになれる実験室で
仕事をしていた。
自分の席に戻ると、論文集の回覧、が来ていた。
回覧したらチェックするシートが貼付されていて
日付と名前を書くようになっている。
僕のすぐ前の順番に、彼女の名前が書いてあり、繊細そうな数字で
2/29
と、書かれていた。