Calender_Girl

それと比べれば,現実の、たとえば恋しい女の子が居る空間は3次元、
窮屈に違いない。

しかし、もし、その子も自分を想ってくれるなら。


その感覚は心の中、言葉にできない感覚であろう。即ち(点)、0次元である。
自分の心の中の感覚も点、0次元である。

二つの点を結ぶ線は、1次元。距離だけがある。


そして、互いの距離が縮んで行けば、ゼロになる。点。0次元だ。


その時、0次元の前に広がる空間が無限大....理論的にはこれが愛、と云うものの
感覚的表現であろう。


しかし、これを言葉で表現しようとすれば途端に3次元に堕ちてしまうし
イメージを共有できても4次元に過ぎない。


まして、勝負、などと言い出せば途端に1次元だし
方向性が互いにずれる、などとならばその瞬間に2次元に陥ってしまう。


0の点無限の空間....至上の愛とはかくも自由なものであろう。科学的には。


さて、私達はそこに到達できるのであろうか。いつの日か。


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もっとも、僕はついこの間まで
大切な日常の存在に気づかなかったから
そんな事を考えるよしもない。




この年は梅雨が長引いた後、夏は暑かった。
夏休みに、彼女がどう過ごしたかは僕が知る由もなかった。

なぜ?と問われても、まったく意識していなかったから、としか言えない。

そして、夏休み明けの最初のミーティングの日。


僕はミーティング・ルームでいつものようにお茶を飲みながら
景色を眺めていた。

高層建築のこの建物は、見晴らしが良くて
まだまだ山奥、のこの場所から
遥か、海を見下ろしながら長閑に過ごすにも適当だ。
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