Calender_Girl
7日間の休暇を終えてオフィースに戻って見ても、特に変わった事もなかった。
お土産でも配ってくるかな、と思い、プロジェクト・ルームのあちこちの
友人たちへと。いろいろと。
そして、その子のいる別プロジェクト・ルームへ。
朝早かったせいか、その部屋には人影まばら。
小学校の教室くらいの大きさのその部屋には、朝日が明るく照り返している。
コンピュータや測定機、資料などに囲まれてライティング・デスクが端の方に
幾つか並んでいる。
と.....。
一番端のデスク,壁際のハンガー・ラックの後ろにちょこん、と
彼女が座っていて、コンピューターのディスプレイを眺めて、俯いていた。
制服のアイヴォリーのジャンパーがすこし大きめで、アームカバーのようだった。
デスクの反対側から僕は回りこんで「お・は・よ?」と
にっこり笑って彼女に話しかけた。
不安そうな顔つきで俯いていた彼女は、眼鏡越しに僕を見るなりにっこり、と笑った。
僕も、なんとなく和んだ。
数秒の沈黙。僕は思い出すように「あ、これ、庄内のおばさんから。」と
駄菓子が数個、でも、手作りの。
直接手渡すと、柔らかな彼女の指と僕の指が触れた。
ふわふわとして、かわいい。赤ちゃんの手のようだった。