Calender_Girl

彼は、真っ正直な男だから、父親に許しを乞う。
当然ながら、断られ、彼は激怒し、乱闘になり......


彼は警察に連れていかれる。
当時の事だから、アルバイトの小説家崩れへの風当りは強かった。

そして、彼女の父親は役人だったので、法律に詳しかった。


彼は絶望し、人知れず失踪。二度と帰らぬ身となった。


時代が悪かった....としか言いようがないが。



それに比べると今は、悪い時代になったとは言われるものの
僕には自由で良い時代な様に思えてなれない。


彼が最後に乗っていったオートバイは、僕が譲ったものだが
今でも、彼の父親が大切に保管していると聞く。
バイクなどに縁のない人だったが、免許を取って乗っていると聞いた。




その女の子がどうしているか、については誰も知らない。
というか,語りたがらないのだ。誰も....。




僕のちかくで、他愛ない冗談にころころ笑う彼女を見ていると
今はいい時代になったな、と思う僕だ。




なぜか、この頃のことを思い出すと
ワルター・ワンダレイの「サマー・サンバ」
ハモンド・オルガンの響きを思い出す。

< 63 / 202 >

この作品をシェア

pagetop