Calender_Girl
いつもだったら地味な色合いのシャツを着ているのに、今日は
若草色の、胸のところが大きく開いていて、そこに白いレースが当っている
可愛らしいデザインのを着ていた。

こないだ、「マドンナさんみたいな衣装で」って言ったから
すこしソレっぽい気持ちなのかな?なーんて思ったりもしたが
この子が着ると、なんとなく愛らしくて、色っぽい、なんて言うムードにはならない。
それがまた、貴重だろうとも思った。

一瞬で過ぎ去ってしまうかのように思えるある時期、微妙なバランスを今
生きているのだろうと感じられた。




僕は、なんとなく華やいだ気分になった。俯き加減で僕を見ている彼女に微笑みを。
でも,言葉にならずに,自然とステップが出る。

真新しい黒い靴が、硬い床と触れてリズムのように鳴った。

タップ・ダンスの真似をしてみるとそれは結構面白い。

彼女と、回りのMLメンバー、佳くんや洋くんは、「わはは」と楽しそうに笑った。


抑えようとしても、抑えられないエモーション。



「うん、これ、タップ踏めそうだね。みんなもやってみない?」
なんて言いながら僕は、飛び跳ねるように踵とつまさきでリズムを取った。



心の中でメロディが浮かぶ。あふれるように新しいメロディが。


レオ・セイヤーのように
踊りながら唄いたかった。

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