偏食系男子のススメ【完】
ちなみに去年、突き放しても突き放してもついてくる川端さんに一度ぶちギレて、彼女の髪の毛を数本抜いてしまったことがあるのだけれど、どうやらトラウマになっているらしい。
さすがにやり過ぎたかなとも思ったけれど、トイレの個室まで入ってこようとする川端さんには多分私じゃなくてもキレていただろうと思い直して反省はしていない。
「あーちん、ね、だから約束通り今日遊ぼう?」
「用事あるから無理」
「どんな!? きらりも付き合う!」
「あんたから逃げるっていう用事」
「そして俺とデートっていう用事」
勝手に付け加えるな、と早川を睨んだけれど、そんなことじゃ動じないこいつだから厄介なのである。
川端さんと遊ぶのと同じくらい早川といるのも嫌だわー。どうやったら撒けるかな。
勝手気ままな二人にうんざりしながら、痛む頭を数回トントンと叩いた。あー鬱陶しいったらない。
「デート!?」
「ごめん、俺と藤島付き合ってるから」
「川端さん、ストーカーの虚言だから耳を傾けないでやってね」
「やっぱりストーカーなの!? ……だ、大丈夫、きらりが守るからね、どこにいても見てるから! まずはGPSを……」