偏食系男子のススメ【完】




一歩間違えればいじめだこれ。


こんな派手な机誰が好むっていうんだろう。



あとイズミールってどんなあだ名だよって感じである。


川端さんって、ネーミングセンスが私の彼女に対する情並みに無いと思う。つまり皆無。




「……そのカメラのデータ、今すぐ消さなきゃぶっ壊すけどどうする?」


「ふええええ!? まだ現像してないのに!?」


「キモい」


「あーちんひどいよお!」




と言いつつ、私が川端さんの一眼レフに殺気立った目の焦点を合わせたのに気付くと、大人しくデータは削除された。



多分、去年彼女のスマホのアルバムに、“激カワあーちんフォルダ”なるものを見つけた私がブチ切れて、

そのスマホを床に投げつけ角を欠けさせてしまったことがトラウマになっているらしい。


その主な中身は、私の盗撮写メ、私が有料で貸したノートの写メ、私の筆箱の中身の写メ、エトセトラ。警察に訴えれるレベルだよねこれ。



そしてそんなことがありながら、川端さんもよく未だに私なんかに執着できているなと思う。


唯一の尊敬できるところかもしれない。見習いたいとは微塵も思わないけど。早く懲りて、私といるくらいなら一人ぼっちでいた方が数倍楽だと気付いてほしい。




「……早川、机交換ね」




大きくため息を吐いた後に、有無を言わせず落書きひとつない机をお隣から奪い取った。


その日早川は一日中薔薇の乗った机を使うことになるだろうから、明日から薔薇の人っていうあだ名がつけばいいのに。




「藤島の使ってた机……! 机交換てなんか結婚式の指輪交換みたいじゃね!」




なんて意味のわからない早川の嬉々とした声はもちろん無視した。この変態が、死ね!


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