偏食系男子のススメ【完】
「……だから、私とは合わないんだと思う。川端さんが優しくした分だけ、優しさを返してくれるような人と付き合っていけばいいと思う」
「そっか」
「私みたいのに傷つけられるんじゃなく」
――友達を欲してひとりを恐れている彼女が、最初とても弱い人間に見えた。
けど違った。
新しい関係を築いて、気持ちを裏切られることを怖がっていた私の方が、弱い人間だったんだ。
川端さんはいつもまっすぐ私の目を見て話をして、まっすぐに笑う。
私にとってそれは眩しくて、鬱陶しくて、怖くて、逃げたくなってしまっていたのかもしれない。
「……なーんで川端には分かんないんだろうな」
「……は?」
「藤島、めちゃくちゃあいつのこと大事に思ってんのにな」
……大事に思ってる? こんな私なのに?
眉を顰めて顔を上げれば、ちょっと悪戯っぽく笑う早川の手が私の方に伸びて、頭に触れた。
ぽんぽんっと二度だけ軽く慰められて、振り払う間もなくその手は自ら引っ込んでいく。