偏食系男子のススメ【完】
一瞬心臓が止まった気がして、急激に熱を帯びた頭部に触れたけれど、不思議と嫌悪感は抱かなかった。
……な、なんだ今の……!
「……だ、大事に思えてたなら、川端さんは泣いたりしてない……!」
「ちょっとやり方を間違えただけだろ? 藤島はさ、ちゃんと川端にも伝わるように言葉に出すべきだったんだ」
「……」
「間に合うから、まだ」
間に合う? 何が? 伝えるって何を?
ぐわっと訳の分からない焦燥感に駆られて、心臓が高鳴る。
……川端さんは私のことを嫌ったんじゃないのだろうか。
私に彼女を大切にする権利があるとは思えないけど。
……昨日は随分、中途半端な気持ちで川端さんの家に行ってしまったんだなと少し反省した。
「藤島と川端、すげー仲良くなれると思うんだけど、これから」
「……」
相変わらず早川は優しくて、
「あ、また川端とは友達なんかじゃないって怒る?」
なんて慌てて訊く。