偏食系男子のススメ【完】




そうすれば、そいつはにへらっとだらしくなく笑う。


なに、気持ち悪いな。いきなり。




「……よかった、いつもの藤島に戻って」


「はあ? 私はいつだって私だ」


「いや、うん、そりゃどんな藤島も好きだけど」


「……っ」


「……な、なんか今日反応よすぎだろ!? どうしたの藤島!? 可愛すぎてもう心臓ギュンギュンやられちゃってるんだけど!?」


「し、知るか! キモイうるさい死ね!」




思いっきり早川の脛を蹴れば、痛みに悶えつつもやっぱり口元は緩んでいるから、早川ってクソドエムなんだと思う。キモイどっかいけ。



……でもちょっとすっきりした。


あのまま一人でいたら、絶対に辿り着かなかった答えに行き着いてしまった。


それがいいことなのか悪いことなのか、川端さんと話してみなければきっと分からないけど。真新しい選択に自分でも戸惑っているけど。



けど。




「……は、早川」


「え?」


「……だから、……ど、」


「んー?」




とぼけているのかほんとに分かってないのか、ムカつく笑顔で私を見てくるそいつを、思いっきり睨んでやる。



< 142 / 310 >

この作品をシェア

pagetop