偏食系男子のススメ【完】
そうすれば、そいつはにへらっとだらしくなく笑う。
なに、気持ち悪いな。いきなり。
「……よかった、いつもの藤島に戻って」
「はあ? 私はいつだって私だ」
「いや、うん、そりゃどんな藤島も好きだけど」
「……っ」
「……な、なんか今日反応よすぎだろ!? どうしたの藤島!? 可愛すぎてもう心臓ギュンギュンやられちゃってるんだけど!?」
「し、知るか! キモイうるさい死ね!」
思いっきり早川の脛を蹴れば、痛みに悶えつつもやっぱり口元は緩んでいるから、早川ってクソドエムなんだと思う。キモイどっかいけ。
……でもちょっとすっきりした。
あのまま一人でいたら、絶対に辿り着かなかった答えに行き着いてしまった。
それがいいことなのか悪いことなのか、川端さんと話してみなければきっと分からないけど。真新しい選択に自分でも戸惑っているけど。
けど。
「……は、早川」
「え?」
「……だから、……ど、」
「んー?」
とぼけているのかほんとに分かってないのか、ムカつく笑顔で私を見てくるそいつを、思いっきり睨んでやる。