偏食系男子のススメ【完】
「……なに? まだ用でもある?」
「用なきゃ藤島と一緒にいちゃだめ?」
「だ、だめに決まってんじゃん!」
「決まってんのかよ」
ふはっと気持ちよく笑う早川は、尚も私の数歩後ろをついてくる。
ていうか阿部くんたちはどうしたのよ。
一緒に回ってたんじゃないの? 断ってきたの? わざわざ?
昨日軽く弱いところを見せてしまったからか、なんだか目が合わせづらい。
二人きりは気まずい。出来るだけ関わりたくないのに。
「……友達といればいいじゃん、ついてこないでよウザいから」
「川端のシフト終わるまで待つんだろ? それまででいいから一緒にいてよ」
「はあ? なんで私が……!」
「理由は何でもいいからそばにいてほしいもんなの、好きな子には」
汚い言葉で言い返そうとしたけれど、何故か頭が真っ白になって、うぐぐと声にならない音が喉で鳴る。
何が好きな子だ。
そんなグイグイ来られてもこっちはドン引くだけだっつーの!
無駄なアプローチはいい加減やめてほしい!