偏食系男子のススメ【完】
「……藤島」
「うっさい死ね」
「……藤島」
「……だから何!?」
「……藤島、顔赤い」
「……」
いつの間にか私の後ろでなく、横を歩いていた早川が間の抜けた顔でこっちを見ていた。
……は?
慌てて手の甲で顔全体を覆い隠すようにすれば、触れた頬が熱くて内心パニクる。
何これ何これ何これ。何これ。何だこれ。
それを悟られないように、出来る限りに眉を顰めて早川を睨みつけた。
「……いっ、言っとくけど、暑さのせいだからな!?」
「……えー」
「えーって何よ、も、文句でもあるなら地獄に落ちろ!」
「えー」
「……何にやついてんの」
こっちを見て満足げに口角を上げているバカ男を更にきつく睨んで、鳩尾に拳でも入れてやろうとしたけれど、上手くかわされてしまう。
……最悪。意味が分かんない。ムカつく。