偏食系男子のススメ【完】
昨日から私はちょっとおかしい。どうも調子が出ない。
自覚はあるけれど原因が分からないから、対処のしようもなくイライラが募るばかりだ。
「あーあ、藤島が可愛すぎて辛い」
「いい加減付いてくんな」
「そしたら俺ひとりぼっちになるじゃん」
「阿部くんたちのこと裏切るからでしょ、自業自得」
「だって藤島一人にしたら悪いことばっか考えてんじゃねえかなーと思って」
「は?」
早川は何でもないことのようにさらりと言う。
……つまり、気を遣われていたのだろうか。
確かに、川端さんを待つ数時間、私のことだからネガティブな思考を繰り返していたと思うけど。
下手したら、絞り出した勇気が凋んでしまうほどには。
……そういえば、早川がウザいおかげで私、普通でいられてたのかもしれない。
ちらりと顔を上げれば、前だけを見てる隣の早川の表情が優しくて、すぐに逸らした。
……自分が私と一緒にいたかったとか、嘘ばっかり。
私が一人にならないように気遣って、私のために付いてきてくれてたくせに。