偏食系男子のススメ【完】




教室に戻れば、廊下まで聞こえるくらいの大声で喋っていたはずのボス猿とその愉快な仲間たちが、途端にぴたりと話を止め、私を振り返ってくる。



なんとなく一瞬だけ、ピリッとした空気が流れて教室は緊張状態にあったけれど、彼女たちはそうしただけで、すぐにおしゃべりを再開した。



はいはい、私に居づらくさせることが目的なんでしょ。


言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。そしたらズタボロに言い返してやるのに。


そんな分かり切った幼稚な嫌がらせに、この私が傷つくとでも思ってるんだろうか。


可哀そう、馬鹿で。




「お帰り藤島」




席に戻れば、早川が私に言って柔らかく笑うもんだから、またボス猿たちがこっちを睨んできた。


はっはー、あなたたちの大好きな早川泉は、あなたたちの大嫌いな藤島亜希のことが大好きらしいですよ。


と、こんなときだけ優越感に浸る私も大概性格が悪い。間違った。お茶目。




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