偏食系男子のススメ【完】
「……白雪姫さんにはきちんとお礼言えたんだけど、……白馬さんはいつの間にかいなくなっちゃってて……」
「……あー」
「イズミール、今日は本当にありがとう、……きらり、一人じゃ全然だめだめだったから、……すっごく助かったの」
……。
……聞いたことある声、どころじゃなかった。
早川と川端さんかよ……!
慌てて頭を引っ込めるけれど、動揺したためか軽く推定耳を机の足に軽く当ててしまった。
多分、音はそんなにしなかったからバレてないとは思うけど。
……やだなあ、なんで敢えてこんなとこで話してるんだよ。
悲劇のヒロインぶってるつもりなのかは知らないけれど、いちいちぶりぶりした喋り方の川端さんはウザいし。
早くどっか行ってほしい。この態勢なかなかキツイんだから。腰曲がったら一生養えよお前ら。
「気にしなくていいって、困った時はお互いさまらしいから」
「へ?」
「川端のこと助けたいって一番に思ってたの、本当は俺じゃねえの」
「……ふぇっ!?」
やっぱり気になって少しだけ顔を覗かせれば、頬に両手を当ててびっくりポーズの彼女が目に入って癇に障った。