偏食系男子のススメ【完】




全部早川のせいだ……!




「……ひ、酷いよイズミール……っ!」




ヤケクソでマスクを脱ぎ取って早川にでもぶつけてやろうかと思った瞬間、川端さんがまだ教室にいることに気付く。


てっきり、私に気付いて教室も出て行ってしまったのだと思っていた。



早川を呼ぶ小声は、私に気を遣っている様子が窺えて、脱ぎかけていたマスクを咄嗟に被り直す。


こそこそ話しているつもりなのだろうけど、彼女の高い声はちゃんと私の耳に届いた。




「あ、あんな怖い人がきらりの友達だなんて、無理だよぉ!」


「……怖い人?」


「ずっとお馬さんの被り物取らない不思議ちゃんだし……。た、助けてくれたのはすごく嬉しいけど、きらり、ちょっと怖いから……っ!」




――川端さんに拒絶されちゃったよ。


え? ふざけんな何この屈辱感? ……死にたい。


あんなに人との関わりに憧れを持っている川端さんに無理とか言われたんだけど。不思議ちゃん扱いされたんだけど。


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