偏食系男子のススメ【完】
何度もしつこいようだけど、私だって趣味で好きでこんなもの被ってるんじゃないっつーの!
どんだけこのマスクは“ナシ”なんだ!
あと、それって多分もっと小声で話した方がよかったと思うよ、ばっちり私に聞こえちゃってるから。
……もし今正体がバレて、そのキモイ馬=藤島だと気付かれたら最悪だよな。
そのまま、このマスクにビビって逃げ帰ってほしい。
「大丈夫だって、話してみ、馬の割に超良い奴だから」
――のに、早川は尚も川端さんの背中を押すから、早川の頭にビニール袋被せてやりたい。窒息しろ!
馬の割にってなんだよ。人を馬扱いするな……!
早川を睨みつけるけれど、もちろん白馬は相変わらずのポーカーフェイスで効果はなく、川端さんが恐る恐る、こっちに近付いてくるのが見える。
……こうなったら、不思議な馬を演じ通すしかない。
面倒だけど、私だとバレなければ良しとしよう。
その後に早川にアレをアレしてアレさせてアレだ。
よし。と覚悟を決め、寝そべっていた体を起こしてその場に正座する。