偏食系男子のススメ【完】




そうすれば、川端さんも私の正面に律儀に正座してくれた。


多分傍から見ればすごいシュールな光景だと思う。


赤ずきんのコスプレをした美少女と、馬面の美少女ってすごい画だ。



改めて向かい合うと、緊張して喉がカラカラに渇いた。




「……あ、あの」




先に口を開いたのは川端さんの方で、私も身構えて背筋を伸ばす。




「……さっきは助けてくれて、ありがとうございました」




深々と頭を下げた彼女の姿は上品な感じがして、育ちの良さがよくわかる。


バカな割に礼儀正しいから、ちょっと動揺してしまった。




「い、イエイエ」




カタコトの日本語で頷くことしかできなかった私を、早川が肩を震わせて笑っているのが視界の隅に入ってイラッとくる。



……大丈夫大丈夫、あの男を怒鳴りつけるのは無事川端さんがいなくなってからでも遅くない。


今は他人を装うしか、私が生きる道はないのだ。マジで早川死ね。



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