偏食系男子のススメ【完】
「……」
「……」
予想通りというかなんというか、そのあとに続く言葉はどちらとも発さない。
うわ、大分気まずい。
その沈黙に耐えかねたらしい川端さんが、早川の方を振り返るけれど、ダメ川は私たちの間に入る気はないらしく、余裕の表情でこっちを見下すだけだ。
なんかもうムカつくな。
「……それジャア、私ハこれデ」
なるべく川端さんと目が合わないように。バレないように。逃げるが勝ちだ。
すっと立ち上がって教室を出て行こうとすれば、不意に強い力で右手首を掴まれた。
立ち止まって川端さんを見下ろせば、私を泣きそうな顔で見上げていて、少し驚く。
掴まれた手首には爪が食い込んでいるんじゃないかと思うほど痛いくらいの圧力がかかっていて、細っこい彼女の体のどこに、そんなパワーがあったのかと不思議でしょうがない。
……ていうか、何でこんなこと。
気味悪がっていた馬に、そんな苦しそうな表情を見せるの。