偏食系男子のススメ【完】
ふっと声を出して笑った翔くんに安心して、一気に緊張が解けた感じがする。
――翔くんが、良い人でよかった。仲良くなれてよかった。
そう言ってもらえるのって、すごく有難いことだよなあ。多分私の日頃の行いがいいからだろうな。
「それじゃ、そろそろ戻るから」
「あ、うん。……あ、待って、あのさ翔くん」
「うん?」
「……ありがとう」
何に対してかは明確にしなかったけれど、翔くんは特に問うこともなく優しく笑うと、理科室を出て行った。
ホッと息を吐いてその場にしゃがみ込む。よっしゃー。川端請負人確保ー!
……でもそういえば、翔くんは駄目元だったなんて言ってたけど、どうしてそう思ったんだろう。
とか一瞬浮かんだどうでもいい疑問をかき消して、再び立ち上がる。
私も早く戻らなければ、ボス猿がまたキーキー騒ぎ出すに違いないことを思い出したからだ。ああ面倒くさいったらありゃしない。