偏食系男子のススメ【完】
色々つっこみたいところはあったけれど、それを上げればキリがないことに気付いて全て飲みこむ。面倒なのはお断り。
「嫌だなあ、あーちん。友達同士はいつでもどこでも一緒にいるもんでしょ?」
「その認識めちゃくちゃ間違ってるから」
「これからきらりとあーちんの友情物語、涙の抱擁編が始まるよ!」
「ああ川端さんが私の制服、涙と鼻水でぐちゃぐちゃにした事案ね。クリーニング代請求されたい?」
おかげで今日私がジャージで登校してること忘れたのか。
鼻で笑ってやれば、私の穏やかじゃない内心をようやく悟ってくれたのか、川端さんは顔を真っ青にして首をふるふる横に振った。
「分かったらさっさと自分の教室戻れ」
「ええええっ! 冷たい!」
「ほら、さっさと!」
「わあああああ」
ずるずると彼女の腕を引っ張りながら教室を出て、廊下を進むけれど、周りの視線がすこぶる痛い。
……すっかり元通りだ。
昨日は判断を早まったかもしれない。付き合う相手はじっくり選ぶべきだったのかもしれないなあ。
と早速後悔しながらいれば、ぐいっと強い力で川端さんに腕を引っ張り返された。