偏食系男子のススメ【完】





「……なに?」


「いや、教室戻るにしても、きらり一人で戻るから……!」


「絶対戻らないでしょ」


「戻るよぉ! なんでそんなに信用ないのぉ!?」




今までの行いが悪いからだ、とは言わずに、川端さんの腕を離す。


そうしてくれるなら是非そうしてほしいし。




「ほら、自分で歩けるんでしょ? とっとと歩け」


「やだあ、ここまででいいよお、ついてこなくて大丈夫だってばあ!」


「いいや川端さんを教室まで送り届けて翔くんに引き渡すまでは安心できない」




言えば、川端さんの表情はその一瞬で凍りついた。



……うん?


なんか変なこと言った? 私。また無意識に嫌なことでも言ってしまったのだろうか。



内心ぎくりとしつつ、これ以上余計なことは言うまいと口を閉じて、彼女の話を待つ。




「……あーちん、翔ちゃんとは気まずいんじゃ……?」


「え?」


「だって、……メイクラブな出来事が……」


「それどういう意味か分かって使ってんの? 殺すよ」




傍から聞かれちゃ物凄く誤解を招く言い方だ。


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