偏食系男子のススメ【完】
「……す、すす好きじゃないよ!」
「ああそう。なんだ、違ったの」
「違うよお!」
「ふーん」
「……」
「へーえ」
ぷるぷると唇を震わせながら、涙をいっぱいにためた大きな瞳をぐるぐる回している川端さんが十分面白いから、深くは追及しないけど。
バカだから本人も自覚ないのかもしんないし。
私だけが知ってる優越感ほど気持ちいいものはないしねえ。
「まあ付き合わないから安心していいよ」
「……え?」
「翔くんとは友達同士でいることになったから」
今日は天気が良い。
窓から見えた青空にぼんやり考えながら事実を告げれば、不意にきゅーっと右腕を抱きしめられた。
驚いて振り返れば、そこに顔を押し付けて私に引っ付いた川端さんがいて、げっと無意識に声が漏れる。
「何!? また泣くなら絶対止めてよ!? 制服に続けてジャージまで悲惨なことにしたくないんだから!」
「な、泣かないよぉ!」
既に涙声だろうが。