偏食系男子のススメ【完】





「……じゃあなに?」


「も、もしきらりがこの前言ったこと気にして……あーちんがそうしたなら……今からでも遅くないから、考え直してほしいなって……」


「おら、思ってもないこと言うな」


「あうっ」




川端さんを振り払って、ジャージが汚れていないか念入りに調べるけれど、よしセーフ。


むしろなんだか彼女の甘ったい香りが移ってしまったけど、涙やなんかでべとべとにされるよりは遥かにマシだから許してあげる。



ていうか物凄い思い違いをされている気がする。




「川端さんに気を遣ってフるわけない。もし私があんたに遠慮するような美女だったら今頃こんな苦労してないっつーに」


「こんな苦労ってなに~!?」


「あのね、私は翔くんに恋愛感情を持ってなかった、ってそれだけだから」


「……ほんとにきらりに気遣ってない?」


「そんな面倒くさいこと死んでもしたくない」




言い切れば、ちょっとは遣ってよお、とかなんとか言い始めるからすこぶる面倒くさい。一体どうして欲しいんだ。



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