偏食系男子のススメ【完】
じっとこっちを上目遣いで見詰めてくる川端さんのおでこをべしりと叩き、彼女を置いて歩き出せば、その後ろをちょこちょこついてくる。
余計なことばっかり考えて。
ていうかお前やっぱり翔くんのこと好きだろ、と訊かないのは、これ以上面倒に絡みたくないからである。
あと上手く利用して川端さんを脅す材料にできないかなと構想を練る時間を得るため。
「……あーちん、ほんとーのほんとーにいいの?」
「しつこい」
「……イズミールのことが好きだから?」
「ハゲろ」
「やだよお!」
早川と翔くんはまったく関係ないでしょ。
やめてくれ。どうしてそうなる。川端さんとの会話でまであいつのことは思い出したくないってーの!
川端さんにうんざりしながら彼女の教室まで早足で向かえば、余裕に笑う早川のムカつく表情を思い出して、ちょっとイラッとした。
それなのに好きなわけがない。
でも感謝はしてる。言わないけど。
……思い返せばここ数日で、随分と借りを作ってしまったような気がする。頭が痛い。