偏食系男子のススメ【完】
川端さんのクラスにようやくついて、教室の中に翔くんを探すけれどその姿はなかった。
さすがにさっきの今じゃちょっと気まずいから、正直都合は良い。
片付けは、当たり前だけど川端さんがいなくても滞りなく進んでいたようで、もう内装はほぼ撤去されていた。
こんなときに、あんだけ時間をかけて準備しても、楽しいのはあっという間で、壊すのは一瞬なのに、よく皆労力をかけようと思えるなーと思ってしまう。
「……何してんの。ほら早く戻って」
「……あーちんといたいのに」
「無理」
「ひ、ひどいよお!」
……なんかもう前より悪化してるんじゃないのこれ。
川端さんと深く関わる覚悟を決めたのは他でもない私自身だけど、依存されたいとは思ってない。
つまりいい加減にウザい!
「さっさと行け!」
「はううっ」
彼女の背中を力一杯押して、振り返ることなくその教室を後にした。
背後から、私の名前を呼ぶ怨念の籠った声が響いてきたけど、聞こえないふりして走る。