偏食系男子のススメ【完】





階段の踊り場まで来て、自分のクラスに戻るには下るべきなのだけれど、今戻ればすぐに川端さんが追いかけてくるかも。



そうしたらわざわざ彼女を教室まで送った意味がない。


あのテンションで騒がれるのは勘弁してほしい。


今日はもう話したくない。限界。これ以上は無理。



と、機転を利かせて階段を駆け上がり4階に上がったまではよかったのだけれど、行先は思いつかなかった。



こういうとき、知り合いがいないというのは損だ。


まさか他のクラスに乱入するのはアホみたいだし、少女漫画のように都合よく屋上は開いているわけじゃないので身を隠す場所がない。



しょうがなく4階の廊下をゆっくり歩けば、すぐに行き止まってしまった。


1年生の出し物が多いフロアらしく、片付けに追われる生徒たちがじろじろこっちを見てくるのが居心地悪い。


いくら私が美人だからって見惚れられちゃ困るわー。目立つのって好きじゃない。目の前で噂されるのも。



そのくせ睨んでやればすぐに目をそらされるのも、逆に癇に障った。



< 194 / 310 >

この作品をシェア

pagetop